2025.08.27
ジアン窯元を訪ねて- ジアンを巡るフランスの旅 vol.6 -
フランス・ジアンの町にある本社兼工場を訪れました。
柔らかなクリーム色の外壁に青い屋根が映える建物は、約200年の歴史を受け継ぐジアンの象徴です。

敷地内に足を踏み入れると、まず出迎えてくれるのは猫社員。
職人やスタッフたちに可愛がられ、工場に癒しを届けるのが仕事だとか。

夏の暑い時期は、早朝5時から働きはじめ、午前11時には一日の勤務を終えるのだそう。
機械任せにせず、人々の工夫で自然に寄り添った働き方は、まさにフランスらしい暮らしの知恵です。

工房の内部では、工程ごとに異なる風景が広がります。
成形された器がずらりと並ぶ空間、細やかな手作業で模様を施す職人の姿、そして窯から漂う熱気──。
それぞれの場面が、ひとつの器に込められた時間と手間を物語っています。

ジアンの製品は、11種類の土を組み合わせて作られます。
形が崩れた商品も捨てられることなく再利用され、資源が循環する仕組みが整っています。

調合された土は粘土にされ、モールと呼ばれる型に流し込まれます。
器やコップ、花瓶などへと姿を変え、中には大人の背丈ほどの大きさになるものも。
海外のスケールの大きさを実感する瞬間です。
全長40メートル近い窯は、低温・中温・高温・冷却のゾーンに分かれています。
製品はおよそ36時間かけてじっくりと焼き上げられ、窯を出るころには割れにくく丈夫な器へ。
まず1回目は、成形した素地を「素焼き」します。
続いて、透明なガラス質の層をつくる「釉薬焼」を経て、表面に艶と防水性を与えます。
最後の3回目は、職人による絵付けやプリントを施したのちに焼き付ける工程。
この3度の焼成を繰り返すことで、磁器のように固く丈夫な製品が生まれます。

工場では各工程ごとに目視や手触りなどで問題がないかのチェックを行なっていました。
一枚一枚の皿を手に取り、模様のわずかなズレや欠けまで確認する姿勢に、ジアンの品質への徹底したこだわりが感じられます。

職人の方たちが実際に彩色されている様子も見学させていただきました。
ブランドの顔ともいえる美しい彩色の現場は、次回の記事で改めてご紹介いたします。
●ジアン陶器工房
工房見学には予約が必要です。
住所:78 Pl. de la Victoire, 45500 Gien, フランス